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現代では様々な湯沸器や魔法瓶がありますので、湯をたぎらせる炉や風炉が無くてもお茶を楽しむことができます。これら湯沸器や魔法瓶を使って、お盆の上を清浄な場所として点前に用いる諸道具を展開させる事で茶室だけでなく、洋室や屋外でも、お茶の世界が広がります。現代生活にとって最も身近な茶の湯の点前ですので、しっかりと身につけていただければと思います。
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茶の湯を習い初めますとお稽古の第一歩は、客の作法とともに、薄茶を点てる薄茶点前から始まります。
薄茶点前は入門の点前であると同時に、これから学ぶあらゆる点前の基礎になって居ますから、大変重要な点前といえます。
薄茶点前は入門の点前であると同時に、これから学ぶあらゆる点前の基礎になって居ますから、大変重要な点前といえます。
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現在では炉の切ってある茶室では、立夏(5月5日)頃には炉を閉じ、風炉釜を用意して、初風炉の茶を楽しみます。床の掛物や花、花入れとともに、初夏のすがすがしさが加わります。この初風炉から盛夏の間を経て、名残の茶の10月までの6ヶ月間、風炉の点前が続きます。この点前は炉と違って亭主は客側に正面を向く機会が少なく、それだけに一種の「凛」とした雰囲気を醸しだします。
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正式な茶事(約4時間)に於いて、その白眉とも言うべき場は、一碗の茶を連客が飲み回す濃茶の席です。これまで時間をかけて振る舞ってきた炭点前に始まり、懐石料理なども、全てこの席中にて連客が口にする数口の分量のお茶を、最高の状態でおいしく飲んでもらうため、亭主はこの濃茶を点てることに全神経を集中することになります。